あの癖も、ほんとに謎だ。


もしかして、斉藤くんはものすごい人見知りで緊張しいなのかな。

人に喋りかけられると、緊張して声が出なくなっちゃうとか?


それにしては、視線を合わせることには拒否感がないみたいだし………。



あー、分からない。


いくらあたしでも、あんな変人、一生理解が及ばないだろうし、心を通わせるなんて問答無用で無理な気がする。



でもなー。

生まれながらの優等生としては、やっぱり斉藤くんに心を開いてもらって口をきくまで、どうしても諦めるわけにはいかないんだよね。



………にしても、斉藤くんは手強い敵だ。



あたしは自分の席に座り、斉藤くんのほうを振り返る。



昼休みで浮かれるクラスメイトたちの喧騒の中、斉藤くんは一人、イヤホンを耳に差し込み、わずかに身体を揺らしてリズムをとりながら、読書に没頭していた。




………やっぱ変、あの人。