「じゃあ、社長にとってみなみは……」


「好きな女の孫。自分の孫みたいな気持ちになったってフツーだ。俺は社長をじいさん扱いするって決めてる。できれば、おまえにもそうしてほしい」


私は頷いた。

不思議な気持ちだった。

社長はゼンさんのお母さんにしてあげたいことがたくさんあったんだろう。
でも、果たせなかった。
後の人生を添い遂げることも、病気の力になることも、彼女に拒否されてしまった。


私が産んだみなみは私たちの娘。
そして、ゼンさんのお母さんの血を引いた娘。


出産って、命を、遺伝子を、想いを次に繋げていくことなんだ。
産んでみて、あらためて感じる家族という存在。

絆という言葉では軽すぎるくらいの、深くて大事な繋がりを、私はこの世に送り出したことになる。


「わかった。私もお嫁さんだし、そうします。でも、内祝いはちゃんとしたいから、何か考えてね」


私が言うと、ゼンさんが晴れた午後の空を見上げて思案顔になる。