「へー、パンがゆかぁ。試したことなかった」


「おかゆを作る時間が無かった時なんか便利よ。普通の食パンを粉ミルクでひたひたにして潰すだけだから」


大人からしてもいい匂い。これはきっと、うちのみなみさんも大喜びだ。

すでに立派なハイハイをこなす純誠くんと、重そうなズリバイを練習中のみなみ。二人は絨毯の上に転がしておき、私と美保子さんはティータイムにする。


「保育園かぁ。うちの区も激戦区らしいのよね」


美保子さんがしみじみ言う。


「美保子さんは預けるつもりはないんでしょう?」


「そうね、私は出産でパート会社員はやめちゃったし。今のところは。でも、幼稚園生のママになるイメージもないのよね」


美保子さんは答える。

地方出身の私は子どもを持って初めて知ったのだけど、都内の多くの専業主婦ママは三歳までは自分で保育し、年少さんから幼稚園に入れる。
私の生まれた地域なんかは、誰もが保育園に通っていた。働いているママは、子どもの入園が早く預け時間が長い。それだけの差だ。

だから、この首都圏のシステムにイマイチ馴れないというか違和感を覚えてしまう。
細分化しないと子どもも預けられないのかと。