帰宅して授乳を終え、処方された薬を飲んだ。
とはいえ、熱がすぐ下がるわけではない。
解熱鎮痛剤は母乳をあげる関係で、日頃生理痛なんかで使うものより弱めの処方だそうだ。

ただ、あの果てもない悪寒が少しだけ楽になった。

私はソファに毛布をかぶって横になる。


「いいから、寝てろ」


ゼンさんは私を寝室に追いやろうとするけれど、みなみを彼に任せっきりなのも悪い。

ソファなら、寝ながらみなみがゴロゴロしているのを見ていられるし、授乳もできる。


「もっとちゃんと休んでほしいんだよ」


ゼンさんは渋い顔だ。
でも私がいつまでも退かないので、諦めて夕食を作り出した。

本当はみなみ二重記念日ということで、お刺身も乗っけたちらし寿司でも作ろうかと話していたんだよね。
思えば、スーパーではそんなことを考える余裕があったっけ。