「長瀬さんがもういいと思うまで、いくらでも手伝うわ。
だから、一緒に頑張ろうよ」
先生のおかげで、ほんの少し落ち着いてきた。
「これから長い付き合いになりそうだし……長瀬さんって呼ぶのも他人行儀だから、”莉子ちゃん”でいいかしら?」
「はい」
「私は夏未(なつみ)。皆から”夏未先生”って呼ばれてるの。よろしくね」
病院の先生というより、気楽に話せる相談相手のようだ。
「とりあえず、私にできることは全部やってくるわね。
困ったらすぐに私を呼んで」
「……はい」
夏未先生はさわやかな笑顔を残して、病室を出て行った。
それからは看護師が出入りして点滴を変えてくれたり、包帯を巻きなおしてくれたりするだけで、誰もやってこなかった。