そういえば、響ちゃんもそうだった。
もう会いに来てはくれないけど、私のためにレポートで単位を出すように先生たちに頼んでくれたっけ。

皆が支えてくれるのだ。頑張らなくちゃ。

もう一度先輩の手を握り直した私は、一歩一歩学校に近づいた。


「莉子!」


先輩の言った通り、校門で千春と芽衣らしき人が手を振っている。


「おはよー」


駆け寄ってきたふたりのことは、もう見分けがつくようになった。

背の高さも違うから。
千春の方が少しだけ高いのだ。


普段特に気にしていなかったことに気が付き始めると、楽に見分けることもできるのだと知った。


「それじゃあ、頼むね。莉子、困ったら電話だぞ」


哲哉先輩はふたりに私を託すと、ひとりで行ってしまう。