先輩の笑顔を見ているだけなら、いい。
だけど……学校に近づくにつれ、胸が苦しくなる。
そして、ついには立ち止まってしまった。
「莉子?」
私の手を握っていた先輩は自分も立ち止まって、心配そうに私を見つめる。
「私……やっぱり……」
怖い。怖いよ!
先輩は当然同じクラスにはいない。
千春や芽衣がいるからといって、安心だと言い切れない。
「大丈夫。千春ちゃんと芽衣ちゃんには、校門で待っててもらうことになってる。
それと、先生にも協力してもらえる」
「先生も?」
先輩の言葉に耳を疑う。
そこまで、根回ししてくれたの?
「困ったら、電話を鳴らせ。すぐに飛んでいくから」
「……うん」
私のために、ここまでしてくれる先輩の優しさに、涙がうっすらと浮かぶ。