「ああ、背中ね。マイペンライ」

私のばか。

『問題ない』なんて言ったら、『問題ある』みたいじゃん。

いそいで背中に両手を回してつかまる。
自然に頭がソムチャイの背中にひっつく。

エンジンがかかると、その振動が体に伝わってきた。

それよりも、この状況。

まさか、ソムチャイにしがみついてるなんて。

スムーズにバイクが動き出し、風がソムチャイのシャツをふくらませた。

・・・気持ちいい。

スピードを上げるバイクは、まるで風の中に飛び込んだみたい。
ううん、自分が風になったかのよう。