「だから、僕はソムサックです」

「名前なんて聞いてないってば! 何者なの、って聞いてんの。泥棒だったら、大声だすからね!」

ここで負けてはいけない、と勇気を出してにらんでやった。

ソムサックと名乗った男性は、ぽかーんとしばらく私を見ていたが、やがて、
「・・・ッ、ククッ」
とこらえきれないように笑い出した。

「な、なにがおかしいのよ」

「ククッ、アハハハ」

今度は笑い声をあげてる。

「ご、ごめんごめん。いやぁ、果凛の言ってたとおりだなぁって」

「え?お姉ちゃんの知り合い?」

「そうです。僕は知り合いです。今日は果凛に頼まれて迎えに来たんだ。ちゃんとケツメイしなくて悪かった」