「お姉ちゃん」

隣に並ぶと、お姉ちゃんは海を見つめた。

「実羽、ごめんね」

「・・・え?」

「あなたにつらい思いをさせてしまって。ソムチャイに元気になってほしくて、それだけであなたを呼んでしまった。・・・ごめんなさい」

私も海を見た。

暗い海は波さえも見えない。

「ソムチャイが、好きだった」

「うん」

知っているよ、とでも言いたそうにお姉ちゃんはうなずく。

「こんな感情、はじめて。だから、うれしかった」

「うん」