「ここにいる、ここにいるんだよ。ソムチャイ!」

叫ぶ声に、ソムチャイが少しだけ安心した表情を浮かべた。

「・・・がとう。ありがとう、実羽」

ふっと、手の力が消えたかと思うと、パタンとソムチャイの手が落ちた。



・・・え?


・・・ソムチャイ?



医者が駆けこんで来る。

強い力で看護師に引き離された私の耳に、

ピーーーーー

という音が聞こえた。

「ウソ・・・」