「大丈夫、ここにいる」

「実羽、大丈夫だよ。疲れたでしょう? ソムサックの言う通りにしましょう」

お姉ちゃんが鼻をすすって立ち上がろうとした。

「イヤ」

「実羽・・・」

「だって、ソムチャイがいるんだよ。すぐそこでソムチャイが苦しんでる。そばにいたい。そばにいたいの」

少し離れただけで、もうこんなに苦しい。

苦しくて、自分じゃないみたい。

「あなたが疲れてしまったら、ソムチャイが心配するんだよ。ね?」

お姉ちゃんの目から涙があふれたけど、私は首を横に振った。

「もう、離れたくない。ソムチャイと離れてから、自分が自分じゃなかった。ソムチャイじゃなきゃダメなの。・・・ダメなの」

絞り出すような声が震えている。