「実羽、好き」

強く、抱きしめるソムチャイの体に私は、日本に戻ってからのぽっかりと空いた気持ちが埋められるのを感じた。

・・・ソムチャイが好き。

ずっと、ずっとこうしてほしかったんだ。

「ソムチャイ、私も、私も好き」

「実羽」

ソムチャイの体は熱くて、体温が高いのがわかる。
息も荒く、ヒューヒューと風が吹いているような音が漏れていた。

もしかしたら、これが最後かもしれない。

その現実が、今、こんなに怖い。

抱きしめられている感覚も、この体温も、全部が幻になってしまうの?

「・・・神様」

知らずに言葉が出ていた。

「お願いします。ソムチャイを連れて行かないでください。お願い・・・します」