ソムチャイに視線を戻す。

「来てくれたの?」

少しさみしそうに言う。

「ソムチャイ、ごめんなさい。私が呼んだの」

お姉ちゃんの声が後ろから聞こえる。

深くうなずいたソムチャイが、両手を広げた。


「おいで」


その声に呪縛がとれたようにノロノロとベッドに近づいた。

「廊下にいるね」

ソムサックの声が聞こえた。

そばの椅子に腰かけると、ぼんやりとソムチャイを見た。
まだ、実感がない。
朝、家を出てきたのに、もうソムチャイのそばにいる。

会いたかったはずなのに、落ち着かなくって逃げ出したいような。