「そんなに・・・?」

声がかすれる。

喉がカラカラ。

「実羽、お願い。最後にソムチャイに会ってあげてほしいの。お願い・・・お願いします」

最後は消え入りそうな声でお姉ちゃんが頭を下げた。

嗚咽が車内に響く。

「ウソでしょう? ねぇ、ウソでしょう・・・」


ソムチャイの笑顔。

ソムチャイの笑い声。

ソムチャイの・・・。


思考はまとまらず、彼の顔だけが浮かんだ。


車が停車する。


そこは、あの病院だった。