ああ・・・。

私は・・・なんにもわかっていなかった。

ただの風邪だって思いこんで・・・。

「・・・ひどい」

「ごめんね、実羽」

ギュッとお姉ちゃんが手に力を入れた。

「ソムチャイは」

ソムサックが言葉を選ぶように間を置く。

「実羽には言わないで、って言った」

「・・・」

「だけど、もう危ない。医者から言われている。あと数日だ、って」


頭を殴られたかのような衝撃が走った。