「僕もドクターも、ソムチャイも・・・。もう、長くないこと、わかってた」

ソムサックの声が耳に届く。

弱く、悲しく。

「ウソ・・・」

「だから、最後に思い出を作ってあげたかった。実羽ちゃんなら、きっとソムチャイに生きる希望を与えられる、そう思ったんだ」

車内が寒い。

ソムチャイが。

ソムチャイが・・・。

いつも笑っていたソムチャイが、重い病気だった?

そんなの、信じられない。

信じられないよ。

「ソムチャイは風邪じゃなかった。もう、抑えらないくらい病気が進んでいたんだ」