「ソムチャイは病気だった。生まれた時から治らない病気で、何度も入院をしてたんだ」

小さい声で言うソムサックの言葉に、お姉ちゃんが小さく何度もうなずいた。

「病気?」

「だから学校にも行かせてあげられなかった。だけど、どんどん進行していった」

苦しそうにソムサックが言う。
バックミラー越しの目がゆがんで・・・。

「・・・やめてよ」

言葉が震えだす。

「そういうのやめてよ。やめてよ!」

「実羽」

お姉ちゃんが私を見る。
私は見たくない。
お姉ちゃんの目を見たら、それが本当だってわかっちゃうから。

私は顔を伏せた。