「緊急事態」

ソムサックがハンドルをさばきながら言った。

「え?」

「果凛が出したエアメール。あれは、僕たちの結婚のことじゃないんだ」

「・・・ごめん、よくわからない」

でも・・・。

なんだか胸がざわつく。

この場から逃げ出したくなるような気持ち。

それが足元から這い上がってくる。

「ソムチャイに思い出を作ってあげたかった」

ソムサックのその声に、お姉ちゃんが声をあげて泣き出した。

いつもの泣き方じゃなく、耐え切れない感じで。

「・・・なに言ってる・・・の?」