「これ、かわいいね」

そう言って、ソムチャイが大きいゾウを左手に持つと、蛍光灯の明かりにかざした。
それを返してもらい、小さい方を渡す。


「離れていても、一緒にいさせて」
日本語がおかしくなったが、意味は伝わったのだろう。

ソムチャイが、大きくうなずいた。

「ソムチャイが持つ小さいのが私。私が持つ大きいのがソムチャイなの」

「ありがとう」

そう言って、私にキスをした。


時間が止まればいいのに。

彼が日本人ならいいのに。

私がタイ人ならいいのに。

ずっと一緒にいれたらいいのに。


悲しい気持ちが押し寄せてきてうつむいた私に、ソムチャイは言う。