「由衣ちゃん、プロイホテルはスタッフ足りない。よかったら来るかい?」

ソムサックがまだ渡辺社長をにらみつけている由衣さんに声をかけた。

由衣さんは、鼻から息を吐き出す。

「ああ・・・。うちはええわ。まだツアーの予約もたくさんあるし。こんなおっさんでも、一応社長や。犯罪になるかどうかわからへんけど、とりあえず自首してもらう。その間、ウチはこの会社を守るわ」


今、渡辺社長の目から、涙がひとしずく頬を流れた。