「ソムサックとお姉ちゃんが渡辺社長に助けを求めたのはいつ?」

ソムサックは考えるように宙に視線を向けると、
「ええと、最初は僕たちだけで探して、それから電話したから・・・モナカの4時くらいかな?」
と、お姉ちゃんに同意を求めた。

お姉ちゃんは心なしか青ざめた顔をして、静かにうなずいたあと、
「“モナカ”じゃなくて“夜中”、ね」
と訂正した。

「私が救出されたのは?」

「午前7時半」

ソムサックが答えた。

「つまり、3時間くらいで200個ある不動産からめぼしいところを見つけたってことでしょう?いくらなんでも早すぎる。渡辺社長、あなたは知っていたんじゃないですか? 私が監禁されている場所を」