ソムサックが視線をめぐらす。
「私、不思議だったの。昨日、私がホテルを出てから誰かにつけられている感覚はなかった。なのに、どうしてウアンは私の居場所がわかったんだろう、って」
みんな黙って私の言葉に耳を傾けている。
「私が会ったのは由衣さんと、そしてもうひとり・・・渡辺社長。そのふたりだけだった」
ギョッとした顔をして渡辺社長が首を振った。
「な、なんで僕なんだい。僕はたまたまホテルの前で会っただけだろう?」
「渡辺社長は、ホテルの前で私を見張っていた。私がひとりになるチャンスを待っていたんじゃないですか? いざ、ひとりになったら疑いがかけられないように香水をつけたんだと思います」