「同じ匂いでも、あれは由衣さんじゃなかった。だって、その人に体ごと持ち上げたり、すごい力で押さえつけられたんだもん。あれは・・・男の人だった」

「男の人・・・」

お姉ちゃんがつぶやくように言った。

「由衣さん」

私は考え事をしているかのような難しい顔の由衣さんに尋ねた。

「香水はいつも家に置いてあるんですか?」

「あ、ああ・・・ええと」

急に言葉をにごした由衣さんに私は続けた。

「ここにもあるんですね?」

「・・・うん。机の引き出しにはいってるわ」

あきらめたような顔の由衣さん。

お姉ちゃんが目を見開く。