「あのね・・・。私、由衣さんに聞いたアルニーってお店に行ったの」
「そうやで、その後いなくなったって聞いたから、ウチ心配で心配で」
由衣さんが唇をかみしめて悔しそうにうつむいた。
心配かけたんだな・・・。
せつなくなった。
「私、アルニーの店から出てすぐに黒い大きな車に連れ去られたの」
「ウアンの野郎!」
怒り心頭って感じで由衣さんが大きな声を出した。
「顔に袋をかぶせられたから、連れ去った人の顔は見えなかった。でも・・・」
言うべきか。
言わないべきか・・・。
「・・・でも?」
渡辺社長がはじめて言葉を発した。