「実羽ちゃん!」

ドアを開けた私を見つけた声が弾む。

ここは、お姉ちゃんが勤めているツアー会社。

クーラーの風に思わずほっとする。

すぐに飛び出してきた由衣さんが私を強く抱きしめた。

「なんや、元気そうやないか! もう、心配させてからに!」

「ごめんね、もう大丈夫だから」

「由衣さんも一緒に探してくれたのよ」

後ろからやってきたお姉ちゃんが言う。

「渡辺社長も」

ソムサックが指さす方向には、ほっとした顔の渡辺社長。

「ありがとう・・・」