「そう・・・」

心ではウアンを軽蔑していても、アイスにはこれしかないんだ。
だから、忠実な部下を演じているんだ。

「タイの人は、みんなこういう世界わかってる。どうしようもないよ」

「そうなんだ・・・」

こんなことが現実に起きているなんて、私は知らなかった。
売る、とか売られる、とか・・・。

人が物のようにやりとりされている国。

きっと非公式にしても、それが暗に認められているなんて・・・。

「ウアン、いい人」

「えー、そうかなぁ」

思わず私は笑って言った。

良い面なんて、まったく見てないから。