「そう。ここではあまりない、寒い朝に生まれた。だから、アイス」

「そうなんだ・・・」

意味のない会話でも話していると気がまぎれるよう。

「アイス、さっき守ってくれたよね?」

「違う」

「でも、アイスが追い払ってくれたから」

「違う。実羽、これから売られる。傷つけると値段下がる」

「・・・そっか」

ひざを抱えて座ると、こんな状況なのに落ち着いてくるのがわかった。

「アイスはウアンの恋人?」

奥さんがいるって言ってたから、愛人なのかも。

バサッ。

アイスが本を乱暴に置いて私を見た。

「違う。ウアンは違う」