驚いた声を聞いて女の子は、電卓の表示を0に戻して私に差し出す。

これは・・・好きな値段を打て、ってこと?

あわてて財布の中を見ると、全部で2000バーツあった。

電卓に2と打って、ふと手が止まる。

そうだ、渡辺社長が半額にはなる、って言ってた。
目標を3000バーツの半分の1500バーツにするならば・・・。

もう一度、数字を0に戻してから1000と打って返す。

「No」

女の子は首を大きく振ると、2500と打って私に帰す。

「なんだ、やっぱり安くはなるんだ。渡辺社長ありがとう」

わからないだろう、と日本語でひとりごとを言いながら、今度は1100と打ってみる。

「題してじわじわ作戦」