部屋まで降りてくると、ちょうどお姉ちゃんが出勤するところだった。

「行ってらっしゃい」

そう声をかけると、
「ねぇ、実羽。お姉ちゃん考えたんだけどね」
と、マジメな顔をして近づいてきた。

「え? なになに」

「今日は一日ここにいなさい」

「へ?」

「昨日の今日だもの。危ないでしょうが」

「ああ、ウアンのこと?」

腰に手をあてたお姉ちゃんが、
「それしかないでしょうが」
と姉らしくビシッと言った。