すぐにうれしそうに笑うと、
「良かった。もう、仕事に戻らなきゃいけなくって。実羽ちゃん、良かったら会っていって。いちばん奥の部屋だから」
と家に招き入れると、代わりに小走りに外に出て行ってしまった。

言われたとおり家の中に入る。

小さなリビングには、男子ふたり住まいだからか、衣類が散乱していた。

「ふふ」

脱ぎちらかした服がソファに斜めに貼りついていて、なんだか笑えた。

突き当りの部屋まで来ると、私はドアをノックした。

ソムチャイが、“ウー”とか“アー”とか答えたが、たぶん日本語の“はい?”なんだろうと勝手に理解してドアを開けた。

薄暗い部屋にリビング同様、片付いてるとはいいがたい部屋。
ベッドの上に毛布をはおったソムチャイがけだるそうな顔をして私を見た