私はソムチャイを見る。

不思議と心が落ち着いている。

「プロイホテル、私大好き。だから、お願い。うまくいくかわからないけど、やる価値はあると思うの」

かんたんな言葉を選ぶことができなかったけど、ソムチャイは黙って私を見ると、
「わかった」
とうなずいた。

「じゃあ、メオのそばにいてあげて」

そう言うと、私は少し離れた場所に移動する。

目線はウアンに向けたままで。

私は、この島ではただの観光客。
ソム兄弟やお姉ちゃんたちのように、まだ家族にはなれない。

でも・・・彼らにはいつも笑っていてほしい。
特に、ソムチャイには悲しい思いをしてほしくない。

それだけは、たしかなこと。