翌朝、まだ暗い時間にドアをノックする音で目が覚めた。
一瞬、自分が日本にいるような感覚。

でも、違う。

ここはサムイ島だし、実際に今ノックされている。

飛び起きて、
「だれ?」
とドアに向かって尋ねた。

「ソムチャイ」

いつもの明るい声がした。

「え?ソムチャイ、どうしたの?」

そう言いながらドアを開けると、
「サワディクラー」
と微笑む顔。