「お願い、教えて。気になるの」

お姉ちゃんはしばらく私を見ていたが、やがて、
「あのね」
と口を開いた。

「メオの家は、もともとサムイのはずれで食堂をやってたのね」

私は黙って次の言葉を待った。

「でも、だんだんサムイが観光地になってきて、一家で中心部に出てきたわけ。それが、実羽が今日行った食堂」

「へぇ、そうなんだ」

「中心地に近いから、土地の値段も高かったらしいの。でも、こんなチャンスはないって、決断したんだって」

「うん」