ホテルまで戻ると、ソムチャイはホテルの仕事があるらしく行ってしまった。

モヤモヤとした気持ちのままで部屋まで戻ると、ベッドに横になった。


まだ夕方には早い時間。

ふと、思い立ってお母さんに電話をしてみる。

海外からの電話の仕方は、お姉ちゃんに聞いていたからメモを片手に番号を押した。
たっぷり間をあけてから呼び出し音がなると、すぐに受話器が持ち上げられる音がした。

『あ、実羽? 果凛はどう?』

開口一番、お母さんはそう言った。

まるで近くで話しているみたいに近い。

「ちょっと、最初にそれ? まずは私の心配をしてよ」

『あんたはどこ行ったって元気でしょう。そっちは暑いの?』