「お前は知らない!お前は知らない!」
こわれた機械のように、何度も何度も絶叫する友利子。


「・・・行こうぜ」

健治に腕をつかまれ、引っ張られる。


「うん・・・」

私は友利子を気にしながらも、ガスコンロの火を消す。


部屋を出るときに、もう一度振り向くと、友利子はまだ体を前後に揺すっていた。


それは、赤ん坊をあやしているかのようにも見えた。