「ウソよー。ウソ、ウソ!キャハハ、驚いちゃった~?」

鼻血をボタボタと畳にこぼしながら、友利子はお腹をかかえて笑っている。

「てめえ!」
健治がそう叫んで友利子の腹を蹴ると、友利子はふっ飛んで、仏具に体ごとぶつかった。

写真や線香の入れ物が、音を立てて転がる。

「ああ、大変。守っ、まもる~」
友利子は写真を抱きかかえると、愛おしそうに抱きしめて体を激しく揺らした。


「友利子さん」
手を伸ばして無事を確認しようとした私の手は、友利子に振り払われる。

「お前は知らない!お前は知らない!」

やかんがピーーーッと音を立てて鳴り響く。