静かにドアが開いて、友利子が顔を出した。

昨日よりも化粧っ気がなく、ほの暗い蛍光灯に照らされた友利子は私を認めると、ゆっくりと笑った。

「・・・来ると思ってたわ」
老婆のような顔。

無言で私たちは中に入る。

部屋は簡素で、物がほとんどなかった。

蛍光灯が風もないのに揺れ、陰影が移り変わる。

畳部屋に通されると、古いちゃぶ台の前に座った。

ドカッと腰をおろした健治があぐらをかく。


友利子はやかんに火をかけると、ゆっくりと私たちの前に座る。

その顔には、まだ笑顔がはりついていた。