「はい、和田ですけど。ごめんね、そこに誰か先生いるかな?」

『先生・・・して・・・・・・』

「なに?聞こえない」


『・・・どうして、僕を・・・見殺しにした・・・の?』


「え?」

急に温度が下がったような気がした。

スーッとした冷たいものが体を走る。

「な、なに言ってるのよ・・・」


『僕、先生に助けてほしかったのに・・・先生、僕を・・・見ないふりした・・・』

「ちょっと・・・い、いいかげんにしなさい!あなた、誰、誰なのよ!?」
受話器に向かって怒鳴る。

寒さとは別に、額に汗がにじんだ。