和田は呆れた顔を隠そうともせず、両腕を腰にあてた。

「あなたね、南山君は死んだのよ。医者は『殺されたかも』なんて言うし、今大変なの。そんなくだらないこと言ってるんじゃないわよ」
つい、声を荒げて桜を責めた。

桜は狼狽したような顔をしたが、それでも、
「でもっ・・・444が」
と食い下がる。

「しつこい!そんなんだから、あなたクラスで浮いているのよ。いいかげんにしてちょうだい。もうたくさん!」
そう言い捨てると、和田はきびすを返して廊下を先に進んだ。


・・・まったく。ほんと、イヤになるわ、あの子。

それより、とにかく学校に電話しなくちゃ。


そう思って歩いているが、入り口とは逆に進んだようで、廊下はどんどん薄暗さを増してゆく。

まるで壁が迫ってくるような圧迫感。