「とにかく帰りなさい!私は学校に連絡してくるからっ」
早口でそう言うと、足早にICUを出た。

携帯を取り出し、電話をかけようとするが電波がきてないらしく反応しない。

「もうっ・・・」
イライラとあたりを見回した、その時、
「先生」
と、後ろから声がかかった。

振り向くと、先月からクラスにやってきた転校生が立っていた。

「あら、あなた、いたの?」

失礼なことを言っているとは分かっていたが、実際、目立たない子だし。

和田は目を細めて転校生を見た。

・・・名前なんだったっけ?

ああ、確か・・・平野。

そう、平野桜だ。