・・・こんな時だけ友達って言うんだ?

そう言いたいのをこらえて唇をかんだ。


「おい、やめろよ」
健治が亜矢音をたしなめる。

まさか、止められるとは思っていなかったのだろう。

亜矢音は驚いた顔で、私と健治を交互に見ると、
「か、勝手にすれば!」
と、さっさと歩いて行ってしまった。


「・・・帰りたきゃ帰れ」
健治が低くそう告げると、ため息とともに歩き出す。


「・・・」
私もため息をつくと、健治の後をついてゆく。