「聞いただろ?弘樹が言った言葉」
健治が歩き出す。

「・・・うん」
ついてゆく必要もないのに、私は健治の少し後ろを歩き出した。

「あいつ、『守』って言ったよな?」

「・・・そう聞こえた」

苦しむ弘樹の顔が目に浮かんだ。

あんな人間の表情、見たことない。


「俺も聞こえた」
イライラしているのが、背中からも伝わってくる。


救急搬送できる病院は、この町にはひとつしかないらしい。

15分ほど歩くと、総合病院についた。