「先生!救急車!」
稲垣亜矢音が叫ぶと、ようやく我に返った和田が教室から飛び出してゆく。


そこからはまるで、パニック映画のようだった。

顔がどんどん土色になってゆく弘樹。

口から泡のようなものが床にこぼれて。

健治の怒鳴り声。

みんなの悲鳴。

遠くからのサイレンの音。

「まだなのかよ!」
いらだった健治がわめく。

ようやく担架を持って救急隊員が駆けつけた時には、弘樹は白目をむいて動かなくなっていた。