私は椅子から立ち上がると、あわてて図書室を出ようとした。


「ねぇ」
まだ座ったままの正輝が声をかけてきた。


振り返った私に飛び込んできたのは、正輝の笑顔。

「またここで会おうよ。昼休みとかにさ」

「え?あ・・・うん。ありがとう」

なんだか、約束がうれしくて私は言った。


「へんなの。お礼言うようなことじゃないよ」

「そっか。へへ、またね」


片手をあげて、私も笑った。