空いている椅子に座ると、ようやく体から緊張が解けた。

「1年・・・。1年のがまん・・・・・・」

呪文のようにつぶやく。

父親の転勤は、1年の約束だった。

だから、卒業したら東京の高校に行くつもり。

こんな田舎には、絶対に居座らない。

そう思うことで、なんとかやっていけるような気がした。


前の学校では友達もたくさんいたし、大人しいタイプでもない。

さっきだって、余計なことと分かっていても、黙ってバカにされるのはイヤだった。

それでも、転校という環境の変化と、受け入れられていない雰囲気には、さすがに参る。


「あ・・・」

その時になって、私は図書室の窓辺に生徒が立っているのに気づいた。