「・・・行っちゃったね」
私はつぶやいた。

晴れやかな気持ちの反面、つらい気持ちが湧き上がってくる。

窓辺に手をかけると、空を見た。

いつの間にか、月は地平線近くにあった。

「桜」
正輝が肩に手を置いた。

私は、振り向けない。

・・・泣いちゃいそうだから。

「ごめん、桜」
声が聞こえた。

「私・・・。うれしかったんだけどなぁ。この学校で、はじめてできた友達だったから」


おどけたように言ったつもりが、声が震えている。