空振りした健治が体制を立て直し、あたりを素早く見回す。

「どこ行ったんだ!逃げんじゃねーぞ!」

「榊原君!」

桜の叫ぶ声を聞いて、振り向く。


・・・しまった!ひとりにしてしまった!


だが、桜はひとりで両手を口にあてて目を見開いているだけだった。

すぐに桜のもとに駆け寄る。

「大丈夫か?」

「うん・・・。でも、信じられない。あの子が守君なの?」

「ああ」

そう言いながらも警戒して様子をうかがう。

静けさが図書室を包み込む。