「守っ」
先に声を出したのは健治だった。

桜は、細かく震えながらじっと守を見つめている。

「どうしたの、健冶君?久しぶりなのに怖い顔してる」
クスクスと手を口に当てて守は笑った。

「てめぇ!よくもみんなを殺してくれたな!?」
健治が吼えるが、守は未だ笑っている。

「俺を最後にしたのは、いちばん恨んでいたからだろ?いちばん恐怖を味あわせたかったんだろ!?」

その叫びにも、守は声を出して笑うだけ。

「笑うんじゃねぇ!」

健治が、勢いよくこぶしを守に向かって打ち込んだその時、
「!」
音もなく、守の姿は消えた。