抱きしめたい衝動を押さえながら、健治は自分の携帯を取り出すと、図書室の入り口に向かう。

「・・・どこ行くの?」

「携帯をセットするだけ」

図書室全体が映りそうな場所に置く。

「・・・なにやってるの?」

しゃくりをあげながら桜が尋ねる。

「録画」
短く答えながら、アプリからムービーを選択し、録画を開始した。

「・・・なんで?」

「お前」
健治が声に出して笑う。
「質問ばっかだな」

「だって・・・・・・」

下唇を出してうつむく桜。